「学歴:高卒以上」の壁
高校を1年足らずで中退した私は、地元のファミリーレストランでアルバイトをすることにした。
夕方からシフトに入る同級生とは違って、パートのママさんたちと一緒に朝から夕方の時間帯。
店内を清掃して、ドリンクサーバーを準備する。サラダやスープバーの準備も。
開店準備が終わる頃には、常連のスーツの男性客2人組がドアの前で待っている。
オーダーはいつものモーニングセット2つ…
同級生はみんな、学校に通っている時間。
パートのママさんたちとはそれなりの距離はあったけれど、深く聞かれることはなかった。
なんだかんだ数ヶ月は続けたけれど、甘ったれのわたしはここでも馴染みきれず。
しばらくしてお店を辞めることにした。
それからいくつかアルバイトを経験してみたものの、1年経たずで辞めてしまった。
やはり、学校にも通いきれないわたしがいきなり働くのは難しかったのかもしれない。
日に日に部屋に籠る時間が多くなり、
買い物にも行けず、友達とも連絡を取らずで本格的に引きこもりを経験した。
毎日家族に顔を合わせるのも辛い。兄弟と比べられるのも、誰かのため息を聞くのも辛かった。
何もせず、何もできずに窓の外に西日が差し込んでくるのを待つ。
深夜、台所に立って目についた食パンをかじってみたりしたけれど鬱々とした気分は晴れなかった。
働かなければ、当然お金は湧いてこない。
このままではいけない。バイトでもなんでもいいから、と就職先を探し始めたころ。
求人情報誌やハローワークなんかで仕事を探したけれど、「学歴:高卒以上」の壁に阻まれた。
英語もできなければPCも触れない、まともな職歴もなければ学業すらきちんと修めてこなかったわたしにできることはごくごく限られた職業だった。
これは大変。今後が思いやられる。
ここにきてやっと、無謀で無計画な人生をやり直すことを考えた。
それから、友人の伝手で通信制の高校の説明会に出席。
そこでわたしは「高校1年生」から出直すことにした。
週に1度の授業出席。あとは自宅でレポートを完成させて、定期テストで単位を落とさなければ進級。
同級生より2年ほど遅れての入学だったけれど、まわりもそれぞれに事情を抱える子が多かったと思う。
それほど気になることはなかったけれど、やはり同級生が先に卒業していくのを見るとやるせない気持ちになった。
もともと完璧主義の傾向が強く、勉強も運動も頑張ってきた方だった。
自らレールを外れたわたしは、これからどうやってレールを敷きなおしていくのか。
自分で自分を認めることができず、他人と比較しては自分の置かれた環境や性格に嫌気がさした。
何度か学校を辞めたいと思ったこともあるけれど、
週に1度という出席日数の少なさと、共通の趣味の友人ができたことでなんとか卒業まで通い続けることができた。
学校だけが全てではないけれど…
長くなるので、この先はまた別の記事で。
もちろん学校という空間が全てではないけれど、やはり将来の選択肢を広げる意味では通えるうちに通っておくのが良いのかな、とも思う。
十数年前の話。
今は学校以外にも学習の場や方法はあるし、そこでしかできない体験もある。
現在の自分に何が必要かなんて、十年後、二十年後になって初めて分かることだって多い。
あの時、こうしていれば…はいくらでも出てくるけれど
「今」から変わること、この先の未来をより良くする方法はたくさんあるのかも、なんて。
コメント